70万経路を超えてなお増え続けるIPv4フルルートに対応すべく
朝日ネットが選んだ次世代スイッチ「Arista 7280R」
株式会社朝日ネット 様
高い品質と安定性を誇るISPとして高い顧客満足度を誇る朝日ネットのインターネット事業を支えているのがネットワーク部の運用するISPネットワーク基盤だ。
ネットワーク部の辰巳 智氏は「決して人数が多いわけではないですが、データセンターのファシリティと電力、ラック、ネットワークの保守と運用をメンバーで分担して行っています」と語る。ビジネスの柱となるISP事業、VNE事業はもちろんのこと、教育支援サービス「manaba(マナバ)」やカメラソリューション「AiSTRIX(アイストリクス)」といったサービスについても高品質かつ安定した稼働をミッションとするネットワーク部は、各ISP業者との相互接続のための新たな大規模ネットワークを構築することになる。
VNE事業を支える確かなISPネットワーク基盤に必要な条件とは
朝日ネットがビジネスの柱の一つと位置付ける「VNE事業」は、NTT東西のNGN網とネイティブ方式のIPv6相互接続ネットワークを構築し、IPv6によるインターネット接続サービスを運営する事業だ。ネイティブ方式はIPoE(IP over Ethernet)方式とも呼ばれ、これまで一般的だったPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)方式に比べて帯域幅が広く、データ容量も通信速度も向上するため、より高い品質のインターネット接続を提供できる。そのため、ここ数年でネイティブ方式によるIPv6接続サービスは、徐々にその普及率を伸ばしているのだ。朝日ネットは、ISP「ASAHIネット会員」へのIPv6接続サービスを2017年から開始し、2019年現在はISP事業者や電気通信事業者など他業者へローミング提供も開始している。
大規模なネットワークの構築を自社で行うことが前提とされるため、日本でもまだ数少ないVNE事業者だが、その基盤となるネットワーク機器はどのように選定されるのだろうか?
「前提条件は、ポート数と筐体サイズです」辰巳氏は続ける。「その上で、インターネットの接続用としてIPv4フルルートで70万経路(2019年3月現在)、それ以上になっても性能的に余裕がある製品であることが必要でした。もちろん、ネットワーク機器としての安定性も要求されます」
物理的にも機能的にも高い水準が求められる中、厳しい条件をクリアしたのがArista Networks社の「7280R」だった。
「他に匹敵するものがなかった」というAristaの特長
Arista Networks社は、データセンターや仮想化、クラウドといった環境に特化した10G/40G/100Gスイッチを中心に展開する次世代スイッチメーカーだ。従来から汎用シリコンを使ったスイッチング製品には定評があったAristaだが、近年の汎用シリコンの進化により、専用ASICを搭載したルータと比べても遜色のないスペックを実現できるようになったことで、国内外で大きくシェアを伸ばしている注目のベンダーだ。
「実は、Aristaのスイッチはサーバ・ネットワーク環境で以前から使っていたんです。約2年半の間ハードウェア障害を含むトラブルが全くなかったということで、Arista製品の安定性は実証済みでした」とネットワーク部の髙木 萌氏は語る。
VNE事業を支えるISPネットワーク基盤において求められる性能とは、まずは70万を超えるIPv4フルルートにも余裕を持って対応できることだった。「ルーティングの負荷が高い環境であっても、十分に耐えられる性能を備えた製品だと思っていました。もちろん大手のルータ・スイッチベンダーを含む複数の候補がありましたし、検討もしましたが、ルーティング性能・安定性・コストを考慮した時、Aristaに匹敵するものが他になかったんです」(辰巳氏)。
そうした性能面はもちろんのこと、1Uの筺体としてポート密度が高いため、回線の集約率やネットワークの拡張性という点でも評価が高かった。現在導入されるネットワーク機器は100Gに対応した製品が増えているが、将来的には400Gという世界もすでに見え始めている。Aristaが示す明確なロードマップや積極的な情報発信、市場のニーズに合わせた新たな製品の投入といったメーカーの姿勢も社内で評価されたという。
Aristaを導入する中で非常に大きかった点としては、標準的なコマンドライン(CLI)で設定および運用ができることだったと語る髙木氏。なんと新卒入社でネットワーク部に配属されて、まだ1年に満たないというから驚きだ。確かに、製品独自の設定や操作方法を習得する必要がほとんどないということは、導入のリードタイムを短縮できるだけでなく、機器運用の属人化を避けられるというメリットがあるが、Aristaの管理者にネットワーク機器の運用経験が必ずしも求められないということを強く裏付けるエピソードである。
「設定の内容に応じて、柔軟にコンフィグ投入のモードを選択できたり、Linuxのシェルが用意されていることでtcpdumpによるデバッグが容易に可能だったりと、やりたいことに対して柔軟に対応してくれる印象で、運用の負荷がほとんどありません。それにデータセンターでの機器設置や移設、交換といった作業の際にも、工具なしで簡単に設置できるマウントレールはよく考えてあるなと思いました。一人でも簡単に素早く作業できるので、構築の現場を知る人にはとても評判が良いんです」(髙木氏)。
進化を続ける朝日ネット
今回、製品としてはすでにノウハウのあったAristaで決定したが、販社の選定については「一次代理店であること」が条件だったという。ISPネットワーク基盤への導入作業から運用、障害対応までをすべて自社で行うため、信頼できる技術力に加えてメーカーとの強いつながりを持つパートナーが必要だからだ。そこでノックスを選択した理由を辰巳氏はこう説明する。
「以前、ネットワークプロトコルに関する脆弱性が問題になったことがあったのですが、すぐにノックスさんからアナウンスがあり、非常に対応が早いなと感じました。Aristaの導入が決まった後も、こちらが面倒くさいだろうなと思うくらい細かい質問や懸念点について、丁寧なだけでなく、とても素早く対応していただいています。欲を言えば、もっと多くのユーザーがAristaを使えるよう、Aristaに関する勉強会や初めて導入するユーザー向けの設定ガイドなど、どんどん情報発信してほしいですね」そこにあるのはArsita製品への期待だけではない。ネットワークエンジニアとして今求められているネットワークの安定運用という要求に応えるだけでなく、いずれやってくる400Gという世界に目を向けてネットワーク部はチャレンジを続けているのだ。新しいコミュニケーションの形を追求し続ける朝日ネットは、確かな技術と信頼性に基づいた機動力を武器に、新たなサービスをスタートさせた。
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企業名株式会社朝日ネット
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