「デジタル化」を目標にしない
洗練されていく豊中市のインフラ基盤構築の軸
大阪府豊中市役所 様
「ベストな方法」でのスピーディな課題解決
豊中市役所の都市経営部デジタル戦略課は、市民が使うシステムやサービスのデジタル化の推進、庁内のインフラ管理、住民情報を扱うシステムの運用などを担っている部署だ。
同市では、前述の「とよなかデジタル・ガバメント戦略」で幅広い取組みを推進する一方、庁内ネットワークや利用端末の環境においていくつかの問題や改善の必要性を感じていた。そこで、稼働中の仮想化基盤を刷新するタイミングに合わせ、新たなインフラ環境構築ために遂行されたのが「豊中市デジタル基盤構築プロジェクト」(2023年運用開始)である。
「例えば、職員一人が複数の端末を使う必要があったり、各ネットワークが物理的に分かれていたりします。特定のシステムや端末はSaaSへの対応が難しかったりもするので、実務への影響が徐々に大きくなっていました。システム毎に仮想化基盤や物理サーバを導入すると管理対象が増えて運用負荷とコストが上がる半面、全体で見ると余剰リソースが発生しているなど、インフラ基盤の全体的な見直しと最適化が必要になっていたのです。」(同課 ICT基盤管理係長 松田 耕氏)
新たな取り組みは新たな課題を生む。となれば国の指針や動向を把握しつつ新たな解決策を打ち出す必要がある。驚いたのは、豊中市はその動きが非常にスピーディであるということだ。今回の調達を企画競争入札(プロポーザル方式)にした理由にそのヒントが垣間見えた。
「基盤そのものが様々な課題を抱えていました。刷新に伴いセキュリティと利便性を両立する必要もあった。どんなアプローチが可能なのか、我々だけで考えるのには限界があります。広く情報を集めて客観的な意見を募り、ベストな方法を見つけるためにこの入札方式にしました。準備にはかなり時間を掛けましたが、結果的には一番いい形で効率的に進められたと思います。」
これなら守れる、という確信
刷新の対象には仮想基盤のバックアップ・リストアも含まれていた。システム毎のバックアップは取っていたが、その方式や媒体、頻度は統一されていなかったため、日々の運用や非常時の復旧手順が複雑になっていたからだ。そこで選ばれたのがRubrikである。
「Rubrikは設定もシンプルでリストアに掛かる時間も本当に短いので、何かあっても迅速に復旧できる安心感があります。システムを統合するためデータ容量も厳しく見積もりましたが、全く問題ないくらいの圧縮率で驚きました。」
導入要件だったランサムウェア対策の機能についても松田氏は「初めて提案を受けた時、Rubrikは他のどの製品よりも確実にデータを守れると強く感じました。」と高く評価する。
現在は豊中市と遠隔地のそれぞれに導入したRubrik間でレプリケーションも行っている。DR(災害復旧)サイトとして稼働させているのだ。万が一の事態に備え、普段運用しない職員でも対応できるよう操作研修も実施された。 「一度説明を受ければ問題ないくらい、直感的に使える管理画面です。もともと操作性は抜群でしたが、運用後に実感したのはバックアップの設計が格段に楽になったということです。ごついヒアリングシートを頑張って埋めていく作業から解放されたのは、提案段階で見えなかった大きなメリットの1つでした。」 バックアップシステムの刷新を図った結果、予想以上の導入効果、ランサムウェアや自然災害への対策、高い堅牢性までも兼ね備えたデータ保護システムが構築された。
仕組みで4割、動かして8割
今回のプロジェクトで果たしてこれまでの課題は解決できたのだろうか。
「デジタル技術はあくまでも手段だと考えています。数年先も考慮して私たちはシステムを作りますが、達成率はそこで4割くらいです。実際には市民や職員に使ってもらってやっと8割。これから改善を重ねることでどんどん洗練されていくと思います。」
新たな技術を取り入れ、柔軟に広く意見を求めながら、着実に変革を続ける豊中市。この先も、人と人とのふれあいやつながりを軸にデジタル化への取り組みを続けていくのだろう。
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企業名大阪府豊中市役所
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