仮想化基盤のバックアップサービスとしてマルチテナント対応のルーブリック製品を採用し属人的な運用を排除したデータ管理を実現 |
1992年の創業以来、社会の需要を先取りした革新的なテクノロジーの提供によってビジネスを拡大し、現在は約12,000社にも及ぶ幅広い業種の顧客を支援する株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)。同社は2020年7月、VMwareの仮想化基盤をクラウド上で提供するIaaS型サービス「仮想化プラットフォームVWシリーズ(以下、VWシリーズ)」を利用する顧客に向けて、ルーブリックの「Rubrik Cloud DataManagement」を使ったバックアップサービス「バックアップセット/VW」を新たにリリース。より幅広い
顧客層に向けたサービス化に成功するとともに、BaaS(BackupasaService)ビジネスの本格化に向けたサービス基盤の強化を実現しています。 |
創業以来、ネットワークが社会にもたらす無限の可能性を追求しながら、特に近年はクラウド、IoT、AIに代表される最新のデジタルテクノロジーを活用したトータル・ネットワーク・ソリューション・プロバイダーとして、ますます多くの顧客に新たな価値を提供するIIJ。
株式会社インターネットイニシアティブ システムクラウド本部 クラウドサービス2部 プライベートリソース1課 米本 英司 氏 |
同社では、2012年からVMwareの仮想化基盤をクラウド上で提供する「仮想化プラットフォームVWシリーズ(以下、VWシリーズ)」を展開していますが、この中で課題となっていたのが仮想マシンを容易かつ低コストでバックアップできるサービスがないことでした。
「VWシリーズは、管理者権限をお客様にお渡しすることで、自由な運用が可能であることが前提となっているサービスですが、VMwareの仮想化基盤の運用効率、利便性をさらに高めていくためにも、仮想マシンのバックアップを簡単にできるサービスがほしいといったご要望が聞かれるようになっていました」と話すのは、システムクラウド本部クラウドサービス2部 プライベートリソース1課課長の米本 英司氏です。このサービスの提供において不可欠となったのが、利用者にとっての容易な操作性はもちろんのこと、テナント単位で安全かつ効率的なバックアップデータの運用が可能なマルチテナント機能の存在でした。
「バックアップサービスの検討を始めた2018年当時は、マルチテナントに対応したバックアップ製品が少なく、当社内で検証を行った製品も機能面では優れていたものの、運用に関する高度な知識が必要なことから、お客様への提供を想定したサービス化は困難な状況でした。そんなとき新たな選択肢として浮上したのが、マルチテナント対応の最新版をリリースしたルーブリックのバックアップ製品でした」(米本氏)
株式会社インターネットイニシアティブ システムクラウド本部 クラウドサービス2部 プライベートリソース1課 下村 恭子 氏 |
バックアップ、リカバリ、データアーカイブといった機能をコンシューマライクな操作性で提供するルーブリックの「Rubrik Cloud Data Management」は、導入企業の規模を問わずシンプルかつ容易な運用が可能なデータ管理ソリューションです。
IIJが目指すバックアップ機能のサービス化においては、社内のIT担当者に依存することなく、容易な設定が可能であることが要件でしたが、まさにこれに合致していたのがルーブリック製品でした。さらに、米本氏は「すべての操作をAPI経由で実現できる点も、非常に大きな評価ポイントでした。契約のプロセスは自動化する必要があるため、APIの存在は必須だったのです」と強調します。
またサービス化に向けた検証の過程について、米本氏と同じチームでリードエンジニアを務める下村 恭子 氏は、次のように振り返ります。
「他社製品のサービス化において、これまで IIJ はその検証に多くの時間を費やしてきました。今回のルーブリック製品についても、その優位性は初期段階の評価において明確でしたが、実運用には仕様に記載されている以上のこと、つまり動作の仕組みまでを徹底的に熟知しておく必要がありました。例えば、多くのお客様が同時にバックアップを行った場合、ネットワークの帯域や共用設備に影響が及ばないかどうかの確認などでは、米国のルーブリック本社、またルーブリック・ジャパンからもさまざまな支援を提供していただきました」
こうした緻密な検証を通じてサービス化の要件を十分に満たすことが確認されたことにより、IIJは「Rubrik Cloud DataManagement」の正式採用を決定し、2020年7月から正式なサービスとしての提供を開始しました。
ルーブリックがもたらすメリットとして、米本氏はまず設定の容易さを挙げます。
「ルーブリックは必要なプランを選択すれば、わずか数クリックで設定を完了することができます。これまでのお客様の声として、独自にバックアップサービスを選定して、ポリシーに則った機能設定を行うだけで数カ月もの時間を要していたという話があったことを考えると、こうした手間の削減は大きなメリットにつながるはずです」
また下村氏は、ルーブリックの自動化機能は運用面においても大きな価値を発揮すると評価します。
「初期設定を行った後は、ルーブリックは定期的なバックアップ対応を自動的に行ってくれます。これらのデータは暗号化され、IIJのクラウド上にあるバックアップサーバに保存されるため、お客様側でのバックアップシステムの構築や運用は不要になり、コスト低減、運用負荷軽減につながります」
さらに、社内にIT部門が存在しない、専門知識がないなどの理由で、複雑なバックアップ対応ができずにいた中小規模の顧客への門戸を開いたという意味でも、ルーブリック製品のサービス化はIIJに新たなビジネス機会をもたらしてくれます。
「シンプルな操作性、自動化によって属人的な運用を排除できるルーブリック製品によって、これまで以上に幅広いお客様にご利用いただけるサービスを実現できたことは、BaaSビジネスを加速するきっかけになるだけに、大きな期待を寄せています」(米本氏)
サービス提供からまだ数カ月が経過したばかりの「バックアップセット/VW」ですが、期待通りの手応えを感じているIIJでは、すでに今後の可能性も模索し始めています。
「バックアップサービスの付加価値をさらに高めていくという観点で、オンプレミスとクラウド間、クラウドとクラウド間のDR(ディザスタリカバリ)や移行作業においても、ルーブリック製品が活用できるのではないかと考えています。例えば、オンプレミス環境にRubrik Airと呼ばれる仮想アプライアンスを配置することで、レプリケーションなどの機能も提供できるようになります」(米本氏)
インターネットの黎明期から業界を牽引し、最先端のテクノロジー領域で常に “イニシアティブ” をとり続けるIIJ。同社のビジネスの裾野を拡大するルーブリックのバックアップ製品は、今後もさらに大きな可能性を提供してくれるはずです。
取材協力 |
■会社名 | 株式会社インターネットイニシアティブ |
■URL | https://www.iij.ad.jp/ |