「デジタル化」を目標にしない |
豊中市は人口399,524人(2023年3月1日時点)、大阪府の北部に位置する中核市(2012年4月に指定)だ。大阪国際空港や各種鉄道、主要道路を利用できるアクセスの良さで、住みやすさだけでなくビジネスの舞台としても注目されている。子育てや幅広い学びを支援する環境が整い、音楽やアート、スポーツなどの市民活動も盛んで、まち・企業・自治体が連携して新たな魅力を創造している。 そんな豊中市は、2020年「とよなかデジタル・ガバメント戦略」を策定。各種手続きのオンライン化や電子決済の推進を始めとした、デジタル技術による社会課題の解決と変革に意欲的に取り組んでいる。 |
豊中市役所の都市経営部デジタル戦略課は、市民が使うシステムやサービスのデジタル化の推進、庁内のインフラ管理、住民情報を扱うシステムの運用などを担っている部署だ。
同市では、前述の「とよなかデジタル・ガバメント戦略」で幅広い取組みを推進する一方、庁内ネットワークや利用端末の環境においていくつかの問題や改善の必要性を感じていた。そこで、稼働中の仮想化基盤を刷新するタイミングに合わせ、新たなインフラ環境構築ために遂行されたのが「豊中市デジタル基盤構築プロジェクト」(2023年運用開始)である。
「例えば、職員一人が複数の端末を使う必要があったり、各ネットワークが物理的に分かれていたりします。特定のシステムや端末はSaaSへの対応が難しかったりもするので、実務への影響が徐々に大きくなっていました。システム毎に仮想化基盤や物理サーバを導入すると管理対象が増えて運用負荷とコストが上がる半面、全体で見ると余剰リソースが発生しているなど、インフラ基盤の全体的な見直しと最適化が必要になっていたのです。」(同課 ICT基盤管理係長 松田 耕氏)
都市経営部デジタル戦略課 ICT基盤管理係長 松田 耕 氏 |
刷新の対象には仮想基盤のバックアップ・リストアも含まれていた。システム毎のバックアップは取っていたが、その方式や媒体、頻度は統一されていなかったため、日々の運用や非常時の復旧手順が複雑になっていたからだ。そこで選ばれたのがRubrikである。
「Rubrikは設定もシンプルでリストアに掛かる時間も本当に短いので、何かあっても迅速に復旧できる安心感があります。システムを統合するためデータ容量も厳しく見積もりましたが、全く問題ないくらいの圧縮率で驚きました。」
導入要件だったランサムウェア対策の機能についても松田氏は「初めて提案を受けた時、Rubrikは他のどの製品よりも確実にデータを守れると強く感じました。」と高く評価する。
今回のプロジェクトで果たしてこれまでの課題は解決できたのだろうか。
「デジタル技術はあくまでも手段だと考えています。数年先も考慮して私たちはシステムを作りますが、達成率はそこで4割くらいです。実際には市民や職員に使ってもらってやっと8割。これから改善を重ねることでどんどん洗練されていくと思います。」
新たな技術を取り入れ、柔軟に広く意見を求めながら、着実に変革を続ける豊中市。この先も、人と人とのふれあいやつながりを軸にデジタル化への取り組みを続けていくのだろう。
取材協力 |
■名称 | 豊中市役所 |
■URL | https://www.city.toyonaka.osaka.jp/ |