「PowerScale」は、スケールアウトNAS製品として展開されていた「Isilon」シリーズがリブランディングされ、誕生しました。PowerScaleファミリーとしては、アーカイブ向けの「Aシリーズ」、ハイブリッドの「Hシリーズ」、オールフラッシュの「Fシリーズ」で構成されます。特に、「Fシリーズ」は、オールフラッシュでありながら、OneFSの優れた特徴を持ちつつ、従来から手薄となっていた、数TB規模の領域もカバーできる製品で、より柔軟に市場のニーズに応えられます。PowerScaleファミリーは、近年、急速に増加し続けるデータを管理するために必要となる優れた拡張性、効率性、柔軟性、データ保護を提供可能です。
● 単一ボリューム
PowerScaleは、全ノードで単一のファイルシステムを構成します。従来のNASソリューションは、用途ごとにボリュームを細かく分けた設計・運用が一般的でした。この様な仕組みは設計・運用・管理が煩雑でファイルサーバ管理者の悩みの一つでもあります。シングルファイルシステムで構成されるPowerScaleであれば、設計や運用、管理を容易に行うことが可能です。
● 優れたスケールアウト、容易なシステム切り替え
ファイルサーバを数年運用していくと、必ず発生するのが新基盤への移行プロジェクトです。一般的にはNASストレージ機能やOS標準機能を用い、旧基盤から新基盤へデータ移行、サービス切替作業(最終同期・ダウンタイム調整)が必要となり、多くのIT管理者の悩みの一つでもあります。PowerScaleは既存クラスタに新世代ノードを追加し、SmartPools機能を用いることで、管理者に負担をかけず移行作業を行えます。概要としては、既存クラスタに新規ノードを追加、既存ノードの持つデータを、新世代ノードに再配置、再配置完了後、既存ノードの撤去を行う流れです。クライアントからのアクセスパスを変更する必要も、ダウンタイム調整を行う必要もありません。
この課題の解消はアーキテクチャーの違いによります。従来型NASストレージの多くは「スケールアップ型」アーキテクチャーを採用していました。ストレージ容量不足が発生した際、Diskシェルフを追加し容量を拡張する形です。このアーキテクチャーの課題は「性能が不足した際の対応」や「保守契約満了時の対応」です。性能不足に対しては、いくつかのソリューションはNASサービスを提供するコントローラーを上位モデルに入れ替える、またはコントローラーのみを追加し、性能不足に対応する手法を採用しています。これらも有効な手立ての一つです。他方、ダウンタイム調整やその後の運用管理の煩雑化などが危惧されます。PowerScaleは既存クラスタに最適なノードを追加することで、オンラインのまま簡単にストレージ容量、ストレージ性能を拡張することが出来ます。PowerScaleノードはストレージコントローラー機能と、データ配置ディスクが一体化されており、また単一のファイルシステムにてデータを管理する機能を有するため、性能・容量ともにスケールアウトしていくことが可能になります。
● パブリッククラウドの活用
データには、よくアクセスする「活性化データ」とあまりアクセスしない(またはほとんどアクセスしない)「非活性化データ」に大別されます。すべて重要なデータのため、削除することは出来ない。他方ストレージコストを最適化したい。PowerScaleはこの様なご要望にも応えて行きます。
CloudPools機能を使用することで、PowerScale上のデータをパブリッククラウドにアーカイブすることが可能です。アーカイブ先として、Amazon S3やGoogle Cloud Platform、Microsoft Azureなど多くのパブリッククラウドを選択可能となっております。CloudPoolsに加え、SmartPoolsと組みわせることで「活性化データ」は高速ノードに配置、「非活性化データ」はハイブリッドノードまたはクラウドへと自動で配置させることが可能です。
● 独自のデータ保護
PowerScaleは「ノード障害」や「ディスク障害」の備えも優れています。複数のノードやディスクに障害が発生したとしても、サービス継続可能な可用性を提供可能です。PowerScaleに書き込まれるデータは、書込み処理の中でバックエンドスイッチを経由し、複数ノードに分散配置されます。この分散配置時、必要となる保護レベルに合わせたパリティデータを準備することで、障害への備えを完了します。また保護レベルはディレクトリ単位に設定が可能で、非常に重要なデータに対してはより高い保護レベルを設定することも可能です。