ビルド処理に半日以上かかっていた開発環境をDatriumで刷新 |
ガンホーでは現在、Datriumと旧システムを並列で稼働させている。Datriumは新規のゲーム開発用プラットフォームとして、旧システムは業務システム用のファイルサーバとして利用しているとのことだ。
Datriumの導入によってI/Oスピードは速くなっているが、仮想化環境は変更されていないので以前と同じ運用が可能。宮内氏は「運用を変えずにI/Oスピードを向上できたのは大きなメリットです。今のところ新規開発のみで活用しているので旧システムとの比較は難しいのですが、感覚的には2倍以上は速くなったと思います」と話す。
とりわけ、Datriumの拡張性の高さについて、宮内氏は高く評価している。「以前、社内から『動作が遅い』とのリクエストを受けて新しいサーバを調達したこともありました。サーバが増えると運用が煩雑になる上、作業負荷やコストもかかってしまいました」という経験を持つ宮内氏にとって、Datriumの高い拡張性は大きな魅力となる要素だった。Datriumでは性能と容量が分離されているため、ストレージ容量が不足したらデータノードを、サーバCPUが不足したらホストサーバをそれぞれ追加すればよい。想定外のリソース不足が発生しても必要な範囲に絞って柔軟に拡張できるようになったので、コスト面でも大きなメリットを得られた。
Datrium導入の際には、1年間は拡張することなく運用できるようにサイジングした。「“2019年に新規コンテンツが増えれば、その時に拡張すればよい”という考えです。導入時のサイジングやセットアップについては、ほぼノックスさんにお任せしたのですが、導入中も導入後もトラブルはありません。ノックスさんのサポート力の高さを実感しました」(宮内氏)。
設置スペースを減らせたことも、Datriumの導入によって得られたメリットの1つである。旧システムでは、ラックの半分以上をストレージ環境が占めており、その他にサーバ群がラックを占有した。Datriumでは、同様の仕組みを10U程度で実現することができた。
当初はあまり期待していなかったが、データの圧縮や重複排除の機能に関しても、期待以上の効果が得られているという。宮内氏は、「現在、圧縮しにくいデータを移行しているのですが、それでも約2倍の圧縮効果が得られています。圧縮しやすいデータを移行すると、圧縮効率はさらに高まると思います」と話す。
「Datriumは新しい製品で、国内の実績もまだ少ないので、正直に言うと導入への不安はゼロではありませんでした。ただ、それでもDatriumの拡張性やパフォーマンスは魅力的でした。それに他の製品でも不安要素があるのは同じことです。ノックスの担当者さんから“何があっても当社がサポートします”と言ってもらえたので、安心して導入できました」(宮内氏)。
ガンホーでは今後、クラウドに移行できるサービスに関しては全てクラウドに移行する計画を立てている。2019年の早い段階で、バックアップの仕組みをクラウドに移行させる予定だ。宮内氏は「現在はストレージ環境のデータのうち重要なデータを遠隔地のサイトにバックアップするようにしています。バックアップサイトの管理にかかるコストと手間を減らすためにも、是非バックアップ関連をクラウドに移行したいと考えています」と、クラウド移行計画の一例を明かした。
ゲーム開発については、引き続きDatriumを活用していく考えだ。プログラムや画像、音声などのデータをストレージ環境から抽出してビルド処理をした後、使い終わったデータをストレージ環境に戻すという作業をしている。仮にこの作業をクラウドに移行させた場合、ネットワークに多大な負荷をかけてしまうことが容易に予測できる。そのため、ゲーム開発に関連するデータやサービスは、クラウドに移行するのではなく、Datrium上で対応することにしている。
宮内氏は、「当社のクラウド移行計画について、引き続きノックスの担当者と検討を重ね、検証作業を進めているところです。今後も変わらないサービスを提供してもらえることを期待しています」と話している。
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