大掛かりな全国規模の組織再編に伴い、ファイルサーバの膨大なアクセス権限の移行に |
導入の課題
|
日本各地に拠点を持つ総合コンサルタント、パシフィックコンサルタンツ株式会社では、全国共有のファイルサーバを2箇所に設置し、1,400名以上の社員が日々の業務に活用している。
同社では、このファイルサーバのアクセス権限管理が課題になっていた。ファイルサーバには、それぞれの事業所や部署で使用する共有フォルダを作り、各社員に関係する共有フォルダに対するアクセス権限が付与されている。
しかし、長年運用しているうちにファイルサーバのアクセス権限の付与状況は非常に複雑になっていた。
その理由の一つは、部署間の人事異動だ。同社では異動が多く、その度に一人ひとりに新しい部署で必要となるアクセス権が付与された。また、部署を横断するプロジェクトが発足すると、そのプロジェクト専用の共有フォルダへのアクセス権が異なる部署の社員に付与される。
パシフィックコンサルタンツ株式会社 経営企画本部 経営情報部 高部 広昭 氏 |
パシフィックコンサルタンツ株式会社 経営企画本部 経営情報部の高部 広昭氏は、次のように語る。
「人事異動や新プロジェクトの立ち上げがあれば担当部署からアクセス権限付与の申請が届きますが、不要になっても削除の申請が来るとは限りません。つまり、アクセス権限の足し算ばかりで引き算がない。 これが長年繰り返された結果、ファイルサーバの管理業務が肥大化していきました。私たちIT基盤を管理するスタッフは、適切な運用ができるように体制を見直す必要性を感じていました」
同社がアクセス権限管理見直しの必要性を強く実感したのが、2011年5月にファイルサーバのリプレイスを行った時だった。データを新しいファイルサーバへ移行する過程で、アクセス権限情報の一部が引き継げない事態が発生してしまったのだ。
「会社の業務に影響が出ないようにゴールデンウィーク中にリプレイスを行ったのですが、手作業によるアクセス権限修正に時間が掛かり、最後の数日は徹夜になりました」(高部氏)
負担を軽減するために簡易的なアクセス管理ツールを利用したのだが、それはアクセス権限の状態をリスト化するだけのもので、アクセス権限を設定した後に目視確認をするという無駄な手間が掛かっていたという。
2011年10月に実施される全社規模の組織再編は、さらに大掛かりな作業が予想された。主に地域単位で分けていた事業部を全国規模で業務分野単位に組織し直し、組織構造も縦割りから横連携へと大きく変更されることが決まったのだ。 この組織再編によって、ファイルサーバの管理にも大きな変更が求められたのである。
「2011年5月のリプレイスでさえ大変な負荷が掛かりましたが、この組織編成ではそれ以上の作業が発生することは明らか。前回と同じ体制で臨めばアクセス権限の設定が間に合わず、業務に影響を及ぼすことが目に見えていました。 これを乗り切るには、アクセス権限を管理するための本格的なツールが必要と考えました」と、高部氏は当時の逼迫した様子を振り返った。
そして、同社が求める機能を持つアクセス権限管理ツールを探した結果、唯一条件に合致したのが、ノックスが扱っている「Varonis DatAdvantage」(以下、DatAdvantage)だったのだ。
後編では、DatAdvantageの選定経緯とその導入効果をお伝えする。